剱岳 八ツ峰Ⅵ峰Cフェース剣稜会ルート~八ツ峰上半縦走(北アルプス)

★山域:剱岳 八ツ峰Ⅵ峰Cフェース剣稜会ルート~八ツ峰上半縦走(北アルプス)

★日付:2025.07.19(土)~21(月)

★天気:3日間共晴れ(空気感は暑くなかったが日差しが暑かった。朝夜は快適。)

★山行形態:山岳会山行、アルパインクライミング

★メンバー:木村ひ(L)、土田た、土田し

★感想:

(木村ひ)7月19日:室堂から剣沢キャンプ場へ。駐車場の混雑を避けるため早朝に出発し午前5時には到着しましたが、それでも第三駐車場には残り数台しか空きがないほどの混雑ぶりでした。下山時にはスキー場の駐車場から無料シャトルバスが出ていたことから、その混雑具合が伺えました。室堂から剣沢キャンプ場までは特に問題なく一般的な登山道を歩き昼過ぎにはテントを設営。明日のアタックに備えて早めに就寝しました。
7月20日:剱岳アタック!午前0時に起床し準備を済ませ次第出発。長次郎谷はCフェース取り付きまでしっかり雪渓が残っておりスムーズに進むことができました。熊岩付近には10張りほどのテント村ができており多くの登山者がアタックに備えている様子でした。夜明けに合わせて一番乗りでCフェースの取り付きに到着しましたがメンバーが揃わず焦る場面も。ロープを広げて登攀準備を整え30分ほど待機しているとようやく一名が到着しました。もう少し遅れていたらクライミング開始が1時間以上遅れていたかもしれません。既に2パーティーが到着していました。Cフェースはトポ通りの3級で快適な登攀を楽しむことができました。源次郎尾根、チンネ、北方稜線、そして本峰へと快晴の空の下まさに絶景の中でのクライミングを満喫。3,000m峰でのアルパインクライミングの醍醐味を存分に味わえた瞬間でした。八ツ峰上半もトポ通りに進み道に迷うことはありませんでした。7峰も巻かずにピークを踏破。懸垂下降は6峰と8峰で計2回(だったかと)ロープを出しました。8峰からの懸垂下降では5-6のコルから先行していた3パーティーに追いつき順番待ちが発生。全体的に浮石が多く落石には細心の注意を払いながら歩きました。落石を起こさないことが一番ですが万が一発生させてしまった場合は周囲に知らせることが重要だと改めて実感。「ラク」と声を出し続けることで下方にいる人へ危険を伝えることが事故防止につながります。正午過ぎに剱岳山頂に到着し記念撮影後は別山尾根を下山。午後4時頃には剣沢キャンプ場に戻りました。すでに到着していた別パーティーのメンバーが待っていてくれホッと一息。源次郎方面でヘリコプターがホバリングしており救助活動が行われているようでしたが全員無事であることを確認し安心しました。
7月21日:下山。最終日も快晴の予報で日中の暑さを避けるため午前5時に出発。朝一番のバスで下山しました。駐車場に停めてあった車の中は既に灼熱地獄。3日間を通して熱中症に警戒しなければならないほどの暑さでした。

(土田た)昨年のお盆に同ルートを木村裕さんと計画してましたが雨で流れました。今年はNCCの夏山会山行が剱岳ということでタイミングよく最チャレンジとなりました。
【アプローチ】初日は立山駅7:00発のケーブルカー、バスを乗継ぎ8:20室堂スタート。一年ぶりに立山の地に降り立ち下界とは違う高山の空気感に既に気分は高揚。至る所に咲く高山植物を観察しつつ景色を楽しみながらのんびり歩きちょうど12:00に剱沢キャンプ場に到着。(佐藤ゆさん、山宮さんはさくさく歩きテント場の確保整地をしてくださってた。我々より1時間早く着いたそうだ。感謝)テント設営後は早夕食にも早過ぎるしやる事がないので皆でゴロゴロタイム。強烈な陽射しに皆さんグッタリしてました。(私は持参した日傘が大活躍。廣澤さんはテント場近くの雪渓の上で日サロ状態のお昼寝w)14:00頃から各々夕食の準備をし始め明日の健闘を祈りプチ宴会の開始。17:00頃には解散の空気になりそれぞれのパーティーのテントに潜り込みました。
【作戦会議】どうやら明日行く剣稜会ルートは激混み予報。事前に聞き耳立てた情報からでも6パーティーが入る模様。(最低でも)県警の詰所に確認したら長次郎雪渓の状態は良好みたいなので予定を早め24:00起床の準備でき次第スタートすることに(この判断が功を奏する)
【剣稜会ルート】Day2。1:20登山スタート。夏道を20分程度歩くとすぐに雪に乗ったのでアイゼン装着。真っ暗な剱沢雪渓を黙々と下っていく。2:30長次郎出合に到着。見上げると先行に2点提灯アンコウがゆらゆら。心の中でしまったー!と叫ぶ。ここからギアを一段上げ猛追し2パーティー追い越す。(結局この方達は違うルートへ消えていった)事前に映像などで予習してたCフェース取付きに一番乗り4:00到着。忍さんが来るのを待って4:40剣稜会登攀開始。(準備してる間にすぐに2パーティー来たので早出してよかった)1.2ピッチは木村裕さんリード。3.4ピッチは土田貴リード。最終5ピッチ目は忍さんリードでした。剣稜会ルートはⅢ級の快適クライミングなので特に感想はなし。ただ中間支点は全てハーケンなので丁寧に登ったことと終了点はハーケン+ピナクルで3点からの確保を心掛けました。対面に見える源次郎尾根の絶景を眺めながら7:00ジャストにTO。
【八ツ峰】順調に6峰Cフェースの頭に到着したのでのんびり休憩し7:30八ツ峰縦走開始。Dの頭はクライムダウンしEの頭は私が先行でクライムダウンするも情報通り悪く5m下った所で待機し懸垂下降に移行。7峰へは出だしは少し三の窓方面をトラバースし巻きたくなかったのですぐに稜線に復帰。7峰の頭からは長次郎側へクライムダウンし8峰へと登り返しました。8:40 8峰到着。ここで懸垂渋滞発生。中間がテーブル状になってる2段懸垂ポイントです。ロープを繋いで一度で下降可能ですが回収時に高確率で結び目が引っ掛かかるらしいのでセオリー通り2回にわけてコルまで懸垂。8峰から眺める8峰の頭への岩壁は迫力満点だが現場に立ってみると逆くの字状に階段になっており快適に登れました。9:40 八ツ峰の頭に到着しメンバーと記念写真を撮ってもらいました。
【北方稜線〜剱岳〜テント場】八ツ峰の頭から池ノ谷乗越はロープ2本繋いで懸垂下降。一番下まで懸垂すると途中の段差で回収時スタック&落石させそうなので段差の下で切ってコルまで10mほどクライムダウン。(ここは真下に池ノ谷ガリーを登ってくる登山者がいるので落石させないように細心の注意が必要です)北方稜線歩きは昨年会山行で行った苦しかった小窓尾根の思い出に浸りながら歩きました。北方稜線自体は点々と先行者が居たことや、よく踏まれてるので特に感想はないです。ただ眼下のCフェース基部を覗くと登攀待ちの人が見えたので早出して良かったと再確認。11:40剱岳登頂。連休の中日、賑わう山頂でメンバーで記念写真を撮り大休憩しのんびり下山開始。剣山荘まで下ると源次郎組みがちょうど休憩してて風間さんが美味しそうにビールを飲んでる姿が印象的でした。15:20 行動開始から14時間後、無事テント場に帰還。皆揃ったところでリーダー山宮さんの号令にて安全登山ができた事を祝して乾杯で終わりました。今回歩いたルートはクライミングパートは簡単ですが強靭な体力が必要です。だいたい記録を見ると15時間前後の行程。途中確実に取れる水場がないので4リットル担ぎました(3リットル消費)ビバーク装備から雪渓処理もあるのでピッケル、アイゼンも必要で荷物は重くなります。私はだいぶ体を仕上げて望んだので余裕でした。いつかは剱岳の八ツ峰へ!の思いを持っていたので今回無事に山行を終えることができ嬉しかったです。これもNCCを通して色々な経験をさせていただいてるおかげです。来年の夏は他ルートも挑戦したいと思います。

(土田し)Cフェース剣稜会ルートはそれ程難しくない快適なクライミングとトポ通りの分かり易いルート、振り返れば高度感のある景色が楽しめるアルパインを始めた人がアルパインの醍醐味を味わえる好ルートなのかなと思いました。Ⅵ峰からは北鎌尾根に懸垂をプラスしたような岩尾根の登りで個人的には八ッ峰の頭〜北方稜線〜剱岳本峰へのザレ場ガレ場が歩きづらく体力を削られキツかったです。八ッ峰からは八ッ峰の頭が近づくにつれ見えて来たそそり立つチンネ左稜線をクライミングしているパーティーの姿が見え剱岳から下山途中にはチンネを登って来たというパーティーの方たちに充実したクライミングのお話しを伺い来年は自分もチンネ左稜線にチャレンジしたいと思ったので、より一層クライミングに精を出したいと思います。

★山行の詳細はヤマップにアップしてあります。

 https://yamap.com/activities/41612725

暗いうちからアプローチ開始して剣稜会ルート1番のり!
剣稜会ルート1P目フォローの土田た
1P目フォローの土田し
2P目リードの木村ひ
3P目リードは土田た
3P目を登ってくる木村
4P目リードする土田た
4P目を登ってくるフォロー
5P目リードは土田し
5P目終点から下を見る
剣稜会ルート登攀は終了し八ツ峰上半を縦走開始
懸垂下降
八ツ峰を歩く
八峰への登り
縦走してきた八ツ峰の岩陵帯と登ってくる土田し
チンネ登攀中のパーティーを見つめる土田た
八峰からの懸垂下降を確認中
懸垂下降する土田た
八ツ峰の頭に到着して記念撮影
北方領線を歩いてくる土田しと木村
山頂までもう少しかな?
剱岳山頂で記念撮影

投稿者: 新潟クライミングクラブ

新潟クライミングクラブは新潟市にある山岳会です。フリークライミング、クラッククライミング、アルパインクライミング、アイスクライミング、沢登り、山スキーなど幅広く活動しています。

コメントを残す