谷川岳東尾根(群馬県)

★山域:谷川岳東尾根(群馬県)

★日付:202503.08(土)

★天気:高曇り時々晴れ

★山行形態:山岳会山行・アルパインクライミング

★参加メンバー:山宮(L)、土田た(SL)、羽田、阿部、風間、木村、佐藤ゆ

★コース:谷川岳ヨッホ(谷川岳ロープウェイ)の駐車場→谷川岳登山指導センター→一ノ倉沢出合→(一ノ倉沢~一ノ沢を登る)→シンセンのコルの少し上→第二岩峰→第一岩峰→谷川岳オキノ耳→(西黒尾根を下る)→谷川岳登山指導センター→谷川岳ヨッホ(谷川岳ロープウェイ)の駐車場

★ルート状況(2025.03.08現在のもので詳細は山宮の個人的な感想です。)

・ノートレースでした。ラッセルは酷いところで胸ラッセルや腰ラッセルあり。(観倉台への登りや最後の雪庇の登り等)

・一ノ沢上部はザラメに新雪が乗っかっていて結合が悪く先頭の佐藤ゆさん土田たさんは悪く感じたと言ってました。(シンセンのコル直下ではワッフ音がしたのでコルへは上がらず右上の灌木のある方へ上がっていったそうです。)

・第二岩峰の左のルンゼには雪が付いていたので雪壁登りでした。山宮が先頭でフリーで登りましたが傾斜があったので2人目以降は念のためロープで確保しました。

・第二岩峰を越え少し行ったコルへ下りるところは傾斜が急だったのでロープで確保してクライムダウンしました。(ロープを片付け最後から2番目の自分と最後の佐藤ゆさんはフリーでクライムダウン。)

・第一岩峰手前の雪稜から少し下りるところは雪壁がハングしていてスタンスがなかったので、自分が左手にピッケルと右手にスノーバーのスリングで足ブラ状態になり少しジャンプして下へ下りました。(下りた雪面が雪庇だったらどうしようと少し気になりましたが大丈夫でした。)2番手以降も左手にピッケルと右手にスノーバーのスリングで足ブラになってもらい私に支えてもらいながら下りてもらいました。

・第一岩峰は直登せず右から巻きました。二ノ沢へのトラバースは雪の形状が悪くメンバーが躊躇していたので、自分がフリーで真横トラバースより良さそうに見えたライン(雪面をクライムダウンしてから二ノ沢へトラバース。)で二ノ沢へ行ったら雪の下には穴があり(正確には二ノ沢を真横に走った大き目なクラック?)中を覗くと垂直近い草付に雪が乗っているだけの状態に見えました。穴の中に落ちまいと右真横の雪面を蹴り込むとそこも穴、上に行こうと雪面上を蹴り込んでもそこも穴、ともがいているとワッフ音も2回鳴りヤバい状態でした。佐藤ゆさんには『ロープ出して!下へは下りないで!少し悪いけど真横トラバース後に左の岩寄りに登って!』と指示を出し、自分は雪壁と自分が接する面を多めに取りじりじり落ちないよう少しづつ這うように登って危険地帯から脱出しました。SYさん以降の人もロープで確保して登ってもらいました。

・今シーズン初?なのか稜線への雪庇処理はまだされてなかったので佐藤ゆさんがスコップで貫通しました。(作業が不安定になるので貫通箇所下部の灌木でビレイ点を作りロープで確保しました。)

★感想:

(山宮)東尾根は今回で4回目でしたが過去一で雪が多く大変でした。一ノ倉沢から一ノ沢へはノートレースでラッセル確定。トップアウトできるのか?ラッセル敗退か?と案じましたがメンバーに体力モンスターがいてくれてラッセルは問題なかったです。(そこまで酷いラッセルは吹き溜まり区間ぐらい?)ヒヤリとしたのは第一岩峰からニノ沢への右トラバースでニノ沢の雪の状態が悪かったです。先にフリーで様子見に行きましたが雪面をキックするとクラックが入っていて中を覗くと垂壁近い草付きに雪が乗ってるだけのような状態でした。佐藤ゆさんにはロープ出して。下には下りないで少し悪いけど真横トラバース後に岩寄りに登ってと指示を出し、自分は状態の悪いニノ沢をじわじわ上がりました。(クラックラインで上へあがろうともがいてたら大きなワッフ音が2回鳴りました。ここが雪崩て共に落ちるんじゃ無いかとヒヤヒヤしながら静かに岩寄りの方へ登って行きました。)山頂直下の雪庇開通は佐藤ゆさんがやりました。山頂に抜けたら一般登山者から注目の的だったそうです!

(土田た)念願の東尾根でした。いつも西黒尾根から眺めていただけの憧れと恐怖に近い東尾根。自分に果たして挑戦できる資格はあるのかと思い、昨年からクライミング力、フィジカルトレーニングを重ねてきました。山行当日は一ノ倉沢出合に到着すると一ノ倉に突き上げる荒々しい岩陵と真っさらな雪面に身が引き締まりました。ノントレース確定です。一ノ沢の雪崩も怖くラッセルで時間がかかるかなと思いましたが、行程通り素早く2時間で抜けれたのは大きかったです。第二岩峰下部は直登し上部は左の際から山宮さんがフリーで登って上で確保してもらいました。観倉平までの雪稜は一部激しいラッセルでした。胸までありました。踏んでも踏んでも底ナシに埋まるので足下に雪を溜めて固めてジリジリ突破しました。東尾根花形のP1800付近からのトラバースは例年の3倍くらいある積雪なので地形が凄かったです。この箇所のレポでよく見るクライムダウンは恐ろしかったです。先の状況が見えない中、山宮さんがフリーでスノーバーを支点に落ちていく様はとても真似できません。第一岩峰は右から巻きましたが、雪付きが悪かったです。そろりそろりと一歩づつ足元が崩れないようにと神経使いました。最後の貫通式は佐藤さんが突破してくれ、ドンピシャでオキの耳標柱真裏に。写真待ちで20人くらい居たので皆さんビックリ仰天したと思われます。皆さんのサポートのおかげて無事登頂でき達成感いっぱいの一日となりました。

(羽田)1.2回目 シンセンのコルまで敗退、3回目 会山行、4回目 個人山行。今回は、雪が多い、雪の状態が悪い等 どんな東尾根が待ってるのかと……会長、佐藤ゆさんの冬山エキスパート、ラッセルの達人と最強のメンバーが揃い人数が多い中でも、素早く会長の偵察にロープを出しトップを行く佐藤さん、下で誘導して足場のない雪面をサポートしてくれた会長、気を抜けないクライムダウンの後では、安定した所での休憩。雪、風、岩が作り出すの自然の景色は今までになく素晴らしいものでした。いよいよ最後のフィナーレ、稜線に向かう急斜面を、泳ぐように膝ラッセルしていく佐藤さんの速さ、頼もしくなります。ピンポイントに山頂の谷川岳に終了点を借り、安全に東尾根を満喫しました。今回の東尾根は、一番の思い出になり最高でした!

(阿部)今回は日程が1週間移動になったので、参加させて頂きました。積雪量が多く、また雪の状態が不安定である事等の天候的不安と、山登りを2年ほどしていなかったので体力不足である事の個人的不安がありました。結果としては無事登山届どおりの行程をついて行くことが出来ました。体力的に諦めそうになった際に山宮さんに助けて頂きました。大変ありがとうこざいます。また、ラッセルや共同装備の分担等全く出来ない中で、山頂まで抜けることが出来たのは土田さん、佐藤さんを始め皆様のおかげです。本当にありがとうこざいました。

(風間)2年ぶりの東尾根になりました。雪の多さにより2年前と全く違う尾根に感じ、違う楽しさを味わえました!前回登った第1岩峰を今回は巻く事になったのですが雪の悪さも相まってスリリングなトラバースとなりました。ラッセルやルート工作もろくにできなかったにも関わらず、下山でバテバテになってしまい自分の体力と技術の無さを改めて実感しました。次は最後までバテないように体力をつけたいです!

(佐藤ゆ)事前の予報からして今回ばかりは厳しいのではないかと諦めていました。そこら中で雪崩の前兆がありましたが、無事に完登できました。天気は高曇り〜時々晴れでしたので日射がそこまでなかったのは良かったです。東尾根は入門ルートと言われていますが、確かな確保技術に加えて第一に体力が必要と思います。体力的に厳しいと、足がもつれて滑落したりする可能性があります。私は体力的に余裕がありました。進藤さんから教わった東体育館での脚、ふくらはぎのトレーニングの効果を感じます。クライミングのついでに毎回取り組むのをおすすめします。

※山行の詳細はヤマップとヤマレコにアップしてあります。

 https://yamap.com/activities/38305006

 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7890718.html

一ノ倉尾根に行く先行者のトレースを歩き一ノ沢出合まで
一ノ沢へはノートレース
休憩するメンバー
まだまだ余裕のあるメンバー
シンセンのコルへ
第二岩峰のルンゼには雪がたっぷり付いていたので雪壁登りとなる
2番手以降は万が一用にロープを張った
第二岩峰から少し行った先のコルへ下るところは傾斜がありロープを出して確保しながら下りた
山宮と佐藤ゆはフリーでクライムダウン
観蔵台への急な雪壁を登る
ラッセル奮闘中の土田た
お疲れかな?
長い水平の雪稜を歩くメンバー
第一岩峰へ
危険そうな箇所は山宮が先行していく
第一岩峰は右の二ノ沢方面から巻き
二ノ沢の雪の状態が悪かったので二ノ沢左寄りのラインを登った
雪庇へ
雪庇貫通作業中の佐藤ゆ、先ずは足場を作る
トップアウトしてセカンドビレイする佐藤ゆ
土田た
羽田
阿部
記念撮影
下山中、西黒尾根から東尾根を見る羽田

投稿者: 新潟クライミングクラブ

新潟クライミングクラブは新潟市にある山岳会です。フリークライミング、クラッククライミング、アルパインクライミング、アイスクライミング、沢登り、山スキーなど幅広く活動しています。

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