一ノ倉沢烏帽子沢奥壁変形チムニー_4P目まで(谷川岳)

★山域:一ノ倉沢烏帽子沢奥壁変形チムニー(谷川岳)

★日付:2024.09.28(土)

★天気:アプローチは曇り→テールリッジ待機中は曇りから小雨→登攀中は小雨→下山中は小雨から曇り

★山行形態:個人山行、アルパインクライミング

★メンバー:山宮(L)、佐藤

★ルート状況(ルートグレードは参考にした最新のトポ図からで、あとは山宮の個人的な感想です。2024年9/28現在のものです。)

◆アプローチ
【一ノ倉沢出合~テールリッジ基部】
・一ノ倉沢出合からテールリッジ基部までは、右岸の高巻き道→沢へ下りてしばらく歩き→ヒョングリ滝から右岸の高巻き道→高巻き道終点の懸垂下降支点から沢床へ懸垂下降→沢床からテールリッジ基部へ
・最初の高巻き道の岩で苔っぽいところは何回も滑って転びそうになりました。
・沢の岩やヒョングリ滝から右岸へ登る岩は乾いていたので快適に歩けました。
・全体的に水量が少ない感じでした。(ヒョングリ滝は水量が少なくちょろちょろでした。)

【テールリッジ基部~中央稜取付~変形チムニー取付】
・テールリッジの岩が濡れていて(しっとり奥まで濡れているという表現がいいかな)苔っぽいところではアプローチシューズでも滑りました。転ばないように歩いて疲れました。
・残置フィックスを使用しましたが、使用する場合は大丈夫かどうか要確認。

◆一ノ倉沢烏帽子沢奥壁変形チムニー(4級、Ⅴ)

【全体的に】
・岩は全部濡れてました。
・2P目終了点から風があり寒かったです。

1P 階段状のフェース Ⅲ+ 35~40mぐらいかな?(佐藤リード)
・本来の取付(左側の取付)は下が濡れていて準備やビレイが快適ではないので本来の取付から少し南稜テラスの方にある足場も安定したところの支点を取付にしました。
・岩は濡れてましたが階段状なのでで問題なく登れました。
・残置中間支点は1つ、他に何箇所かカムで構築。
・終了点はハンガー2つ
 
2P 階段状のフェイスを左上~変形チムニー側へ直上 Ⅲ+ 25m(佐藤リード)
・岩は濡れてましたが階段状なのでで問題なく登れました。
・残置中間支点は1つ
・終了点はハンガー2つ(もう少し上にある左上フレーク基部にも終了点がありますが今回は最初に出てくるハンガー2つの終了点を使用)

3P 左上フレーク Ⅴ 30~40mぐらいだったかな?(佐藤リード)
・リード佐藤は右のクラックや正面のフェイスを確認し少し登ったりもしましたが残置もなく支点も取れないので山宮指示通り上部が崩落している左のラインから登りました。(懸垂下降時に右のクラックの上部を見ましたが登っていたらかなり悪かったと思います。)
・左のラインは崩落個所まで登ってから左側の岩へ真横移動(左側のガバの岩(下)は少し動いたのですぐにガバの岩(上)を取りました。スタンスは結構下の方にありますが草の中で見えにくいです。)、その後直上して緩傾斜帯を登ります。(岩が乾いている時は問題なく登れてましたが岩が雨で濡れたここも微妙に悪かったです。)
・残置中間支点は2つ(2つとも支点の穴は塞がれていて切れてもおかしくない垂れ下がったスリングを使う。)、他に何箇所かカムで構築。
・終了点はハンガー2つ

4P チムニー Ⅳ+ 25mぐらい?(佐藤リード)
・リード佐藤だけ登りました。(山宮は登らず終了)
・チムニー内は全部濡れていたそうです。

◆下降

【4P終了点→今回の取付】
・懸垂下降4回で本来の取付(左側の取付)へ下降しロープを片付け、今回の取付まで移動。
・懸垂支点は4P目終了点、3P目終了点、左フレーク基部にある終了点、1P目終了点。
・3回目の懸垂下降(左フレーク基部にある終了点から1P目終了点への懸垂下降)終了後にロープ引き抜いた時に終了点から外れたロープがまとまって階段状スラブ帯に落ちたようでロープが岩角に引っかかってしまい(写真参照)落ちてこなかったのでダブルロープ1本でヤマパンがリード(引っかかっているロープはバックロープで引上げ)して終了点まで登り再度懸垂下降で下りて引っかかっているロープを外しました。『ロープが終了点から外れても引っ張り続ければ絡まないと誰か言ってました。』と佐藤が言ったので2回目はそれを試みましたが引っ張るより先にロープはどこにも引っかからずに落ちてきてました・・・1回目はただ運が悪かっただけなのか?

【今回の取付~中央稜取付より少し下の安定したところ~テールリッジ基部】
・傾斜の急なところはクライムダウン、その他も岩が濡れたところではクライムダウンを多用して下りました。
・濡れた岩はクライミングシューズの方が滑らなかったのでこの区間はクライミングシューズで下山し中央稜取付より少し下の安定したところでアプローチシューズに履き替えました。

【テールリッジ基部~一ノ倉沢出合】
・高巻き道の岩で苔っぽいところは滑るので注意しながら下山しました。
・雨で水量が増えてました(ヒョングリ滝がヒョングってました)がいつもより少ない感じでした。

★感想:

(山宮)今回は佐藤さんを誘って南稜フランケを登る計画を立てました。南稜フランケだけでは時間が余ると考え、変形チムニーを4P目まで登る(佐藤さんは中央カンテを先日登っているので中央カンテに合流した区間は登らなくていいと判断)のを追加して計画書作成しました。天気予報が微妙でしたが行ってみようという事で行きました。アプローチは曇りでこれはいけるか?と思って登っていくとテールリッジの岩はしっとり濡れていました・・・いつもはアプローチの林道が濡れててもテールリッジの岩は乾いていることが多くルートも染み出しが少しある程度で問題なく登れてたのですが今回はちょっと様子が違う・・・どんどん先まで登っていきましたが岩が乾いていることはなく苔っぽいところは滑るので転ばないように歩いて疲れました。中央稜取付から変形チムニー取付に向かって少し行ったところで小雨も振ってきて今回は条件が悪いと一度敗退を決めました。その後、中央稜取付より少し下の安定したところで佐藤さんと話し合い予報では昼には天気が良くなるとのことなのでその頃には岩も乾くだろうとここで待機することなりました。 待機中に我々の横を通り過ぎていった南稜パーティーが約3時間待機後に1P目を登り始めたのを見て、昼前だけど岩も乾いてきてもう登れるのかなーと話し、とりあえず取付まで行ってみようと重い腰を上げ取付に向かうと岩はまだ濡れていたので、今回はシビアな南稜フランケをこの条件で登るのは危険だと諦めて変形チムニー4P目までだけ登って帰ろうということになりました。変形チムニーを登攀開始すると小雨が強くなってきて登攀中はずっと雨でした。(結局昼には良くなるといった予報は外れて終日変わらない天気でした。)雨で岩が濡れてましたが思っていたよりは問題なく登れました。4P目は今回変形チムニーを初めて登るリードの佐藤さんだけ登ってもらいそこで終了とし下降しました。(雨風で寒かったし早く帰りたいから)同ルート懸垂下降で1度ロープがスタックして登り返しましたがそれ以外は問題なかったです。雨で濡れたテールリッジを歩いたことは過去にも何回かありますがこんなに滑ったのは初めてでした。アプローチシューズを変えたからか?岩が雨で濡れてるのに加えて苔っぽかったのもあったからか?佐藤さんも滑ると言っていたので後の理由が大だと思いますが・・・ただ単に岩が濡れてただけでは滑らないと思うので苔かなー?

(佐藤)霧雨のため目的の南陵フランケは登らず、変形チムニーを4p目まで登りました。核心はチムニーの前のピッチの3p目で、スタンスが微妙なトラバースは緊張感がありました。今回は濡れていたのでゆっくりと登ってしまいましたが、もう少し早く登りたいです。5月に中央稜を登った時よりも緊張しなかったので、その点は良かったと思います。

★山行の詳細はヤマレコにアップしてあります。

 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7304728.html

1P目リード中の佐藤
2P目リード中の佐藤
3P目リード中の佐藤、右と真ん中のラインを偵察中
3P目リード中の佐藤、結局左のラインから登る
左のライン崩落個所から左へ真横移動完了
3P目終了点でセカンドビレイをする佐藤
4P目リード中の佐藤
懸垂下降後にロープ引き抜いた時に終了点から外れたロープがまとまって階段状スラブ帯に落ちたようでロープがこのように岩角に引っかかってました・・・運悪いよね
テールリッジ基部から一ノ倉沢の沢床へ
一ノ倉沢の沢床から右岸高巻き道の懸垂下降支点まで登る
一ノ倉沢出合まで下山、3ルンゼのパーティーが遭難していた

投稿者: 新潟クライミングクラブ

新潟クライミングクラブは新潟市にある山岳会です。フリークライミング、クラッククライミング、アルパインクライミング、アイスクライミング、沢登り、山スキーなど幅広く活動しています。

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