一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜~国境稜線

★山域:一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜~国境稜線(谷川岳)

★日付:2024.06.01(土)

★天気:晴れ

★山行形態:山岳会山行、アルパインクライミング

★参加メンバー:山宮(L)、岸畑(SL)、荒木、木村

★班編成:

 ①山宮、木村(つるべ。山宮が奇数P、木村が偶数Pをリード。3P目はコンテ)

 ②岸畑、荒木(つるべ。岸畑は1・5Pをリードで5P目は短く切る。荒木は2・4・6・7Pをリード。3P目はコンテ)

★ルート:谷川岳インフォメーションセンター駐車場→一ノ倉沢出合→(一ノ倉沢の夏道~雪渓を登る)→テールリッジ基部→(テールリッジを登る)→中央稜取付→南稜テラス→(南稜を登攀)→南稜登攀終了地点→懸垂岩→5ルンゼの頭→国境稜線に合流→一ノ倉岳に寄り道→谷川岳(オキの耳)→谷川岳(トマの耳)→谷川岳肩の小屋→(天神尾根を下る)→熊穴沢避難小屋→天神尾根・田尻尾根の分岐→(田尻尾根を下る)→谷川岳インフォメーションセンター駐車場

★ルート状況(2024年6/1現在のものです。)

◆一ノ倉沢出合~テールリッジ基部
・一ノ倉沢出合からテールリッジ基部まで雪渓通しで歩けません。右岸の夏の高巻き道を使いしばらく登ってから沢へ下りて雪渓に乗ってからは雪渓の通しでテールリッジ基部まで歩きました。
・雪渓歩きに慣れてない人はチェーンスパイク等があると安心だと思います。

◆テールリッジ基部~中央稜取付~南稜テラス
・今回は雨で濡れた岩がまだ乾いてないところもあり滑って転ばないよう注意しながら歩きました。
・残置フィックスを使用する場合は大丈夫そうかどうか確認しましょう。

◆一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜(3級上、Ⅴ)
・ルートは過去に登った時と比べて特に変化はなかったので各ピッチの詳細については割愛します(詳細を知りたい方は過去ブログで確認してください。)がピッチの切り方については前回5/25の南稜登攀時に気付いた点を踏まえ下記のとおり切りました。

・1~2P目と6P目の終了点ははいつものところでピッチを切った。

・3P目はコンテで草付を登り短い垂壁の基部にあるリングボルトの支点でピッチを切った。

・4P目は短い垂壁を登り終えたところにあるハンガー2つの支点はスルーしてその先の右の足場がテラスになっているところのRCCボルト3つの支点でピッチを切った。

・5P目はリッジどん詰まり(カンテ~右の凹角の基部)にある残置ハーケンの支点をスルーして最後の垂壁の基部にあるハンガー1つとRCCボルトとリングボルトの支点でピッチを切った。(上記4P目の終了点から馬の背リッジへ右上して登り5P目終了点まで登ったが50mロープでギリギリだった。上記4P目の終了点から左へ出て岩を1段上がってから馬の背リッジへ右に登ってからロープを伸ばせば屈曲の分5P目終了点までギリギリにならないのか?)

◆6P目終了点~国境稜線
・6P終了点の少し上の足場の安定したところでアンザイレン解除してロープを片付ける。そこから後続の岸畑パーティーと一緒に4人で行動。懸垂岩までの登りは岩場(岩はところどころ濡れてましたが乾いた場所を選んで登れました。ここは全部濡れていたら地味に嫌らしいと思います。)をフリーで登り、その後薄い踏み跡のある草付を登っていく。懸垂岩から5ルンゼの頭までは明瞭な踏み跡を登っていく。

・5ルンゼの頭は岩が脆いとの事前情報よりロープを出して登る。(岩は脆い部分もあるがラインを選べばそれほどではないと思った。また岩が乾いていればフリーでも問題ないと思った。)基部にリングボルトが2つあったが心許なかったのでハーケン1つを追加して支点構築。終了点はリングボルトと残置ハーケン。中間支点は残置ハーケンが2つ、灌木でも取れる。

・5ルンゼの頭を越えてしばらく明瞭な踏み跡を登っていくと最後は薄い踏み跡のハイマツ帯の藪漕ぎをして国境稜線へと出る。

◆国境稜線からの下山
・国境稜線からは良く整備された歩きやすい一般登山道で、谷川岳を通過して天神尾根~田尻尾根のルートで下山しました。

★感想:

(山宮)当初は先週5/25の山岳会山行の日に別隊で一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜~国境稜線へ登る計画を立ててましたが5/25は荒木さんの都合が悪かったので1週遅らせた6/1に行く計画にしました。1週前の天気予報では週末の天気は雨予報だったので延期?と思ってましたが週中の予報では何故か6/1(土)だけピンポイントで晴れ予報に・・・岩が多少濡れているのは谷川らしいという事で当日晴れなら予定通り山行を決行しました。みなかみICを下りると車道が濡れている。谷川岳インフォメーションセンター駐車場も濡れている。一ノ倉岳出合までの林道も濡れている。『うーん・・・直前まで雨が降っていたのか?』と一ノ倉沢出合で少し考えましたが、谷川は岩が乾くのが早いし南稜は最悪A0でも登れるからとそのまま先に進みました。テールリッジもところどころ濡れていたので慎重に登りました。南稜テラスに着きルートを見るとほぼ乾いているように見え問題なさそうだったのでさっさと準備して登り始めました。濡れていると思った1P目のチムニーは濡れてなくて快適。6P目は濡れてましたが問題なく登れました。その他はいつも濡れているところ(4P目終了点から左に出たところの一枚岩とか6P目終了点手前の一枚岩とか)はしっかり濡れてました!1班の登攀時間は2時間半でしたが木村さんは南稜初見で岩も濡れててA0も駆使して慎重に登ってたのでこの時間になりました。(私はA0なし・・・岩は濡れててもこれぐらいのところならばね!)南稜登攀終了後の国境稜線までの登りは4人一緒で登ろうと6P終了点の少し上の足場の安定したところで後続の岸畑さんパーティーを待ちましたが、トランシーバーで岸畑さんから5P目をルートミスして一旦4P目終了点まで戻っている際に後続の追い抜かれたので時間がかかりますとの連絡が・・・結局、南稜登攀終了してから3時間後に岸畑さんパーティーと合流して国境稜線へ登り始めました。南稜から国境稜線へは今回初めて登りましたが念のためロープを出した5ルンゼの頭は思っていたよりも全然悪くないし、ルートは踏み跡もしっかりあって歩きやすかったです。最後の藪漕ぎも全然楽でした。(幽ノ沢を登攀して堅炭尾根の中芝新道を一ノ倉岳まで登るルートや、芝倉沢出合へ下るルートと比較すると南稜登攀終了後~国境稜線のルートは全然登りやすいです!)

(岸畑)6ルンゼ側からと書いてあるトポを6ルンゼからと勘違いして登ってしまい、途中で間違ってると気付いて降りてきて正しいルートから登り直しました。きちんと下調べはしないとダメだなと思いました。南陵終了点から国境稜線までは藪漕ぎもそれほど大変ではなく踏み跡もはっきりしていて歩きやすかったです。失敗していい経験ができたので良かったです。

(荒木)取付きまでのアプローチは雪渓の上を歩くことができ、昨年の中央稜のときと比べると楽に感じました。セカンドで登った1Pで岩角に引っ掛かったロープの解除に戸惑ってしまいました。グレード上では核心の最終6P目は、週末の人気ルートらしく後続パーティが2ピッチ下まで続いていたこともあり、あまり時間を掛けられない中でのクライミングとなりました。染み出しのため緊張感がありましたが、フリーで抜けることができました。反省点としては、まだまだ終了点の構成に時間を要してしまう点です。アルパインに必要な迅速さ、正確さ、柔軟な対応力が足りなく、これから養っていく必要があると感じました。特に、ナチュラルプロテクションのセットに習熟することは、アルパインでの安全確保のバリエーションを増やすことになるので、今年は特に注力したいと思いました。とても充実した、楽しい山行でした!

(木村)憧れのクラシックルートを完登することが出来ました。今でも充実感がこみ上げて来ます。前日の雨で濡れているピッチも有りましたが、それも含みで谷川らしいクライミングを堪能しました。国境稜線まで抜けると快晴のもと気持ちの良い稜線歩きが待っていました。アルパインクライミングの王道を行くようなピークを踏んでの下山に登攀の完成度が高まります。今回、共に登ってくれたパーティーメンバーに感謝します。反省点としては、岩が濡れている部分では不安を感じA0を多用しました。次回はフリーに拘って登りたいと思います。最後に湯テルメ谷川からの水上ホルモン亭も良かったです。

★山行の詳細はヤマレコにアップしてあります。

 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6880453.html

一ノ倉沢の雪渓を登ってくる
テールリッジ基部に取付く
ところどころ濡れているテールリッジを登っていく
南稜1P目をリードする山宮
南稜2P目をリードする木村
南稜1P目をリードで登ってくる岸畑
南稜4P目をリードする木村
南稜4P目終了点でビレイする木村
5P目を少し登って4P目終了点にいる木村を見下ろす
南稜5P目終了点でビレイする山宮
南稜5P目を登ってくる木村
南稜6P目をリードする木村
南稜6P目を登ってくる山宮
南稜登攀終了し、ここからはアンザイレン解除してロープを片付けて登っていく
岩の後は薄い踏み跡のある草付を登る
烏帽子岩
懸垂岩の脇を登ってくる荒木
懸垂岩と烏帽子岩を見下ろす
国境稜線をバックに笑顔の荒木
5ルンゼの頭を見上げる
5ルンゼの頭はロープを出して荒木リードで登る
5ルンゼの頭を越えて先に登っていく
登る岸畑
メンバーのいる先からハイマツ帯の藪漕ぎ
ハイマツ帯の藪漕ぎ
国境稜線へ出た
一ノ倉岳へ寄り道
谷川岳へ歩き出す
ノゾキから一ノ倉沢を見下ろす。烏帽子岩も見える
国境稜線から南稜~国境稜線を眺める。南稜の馬の背リッジを登攀しているパーティーや国境稜線を目指して草付を登っているパーティーが見えた
谷川岳(オキの耳)

投稿者: 新潟クライミングクラブ

新潟クライミングクラブは新潟市にある山岳会です。フリークライミング、クラッククライミング、アルパインクライミング、アイスクライミング、沢登り、山スキーなど幅広く活動しています。

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