★山域:三峰川岳沢~大仙丈ヶ岳、仙丈ヶ岳(南アルプス)
★日付:2024.01.06(土)~08(月)
★天気:1/6 晴れ
1/7 晴れ→お昼過ぎから雲が出てきて次第に稜線はガスっていった。日が暮れると風が強くなり小雪が舞う。視界は5m程度。
1/8 終日晴れ。朝は時々強風。地蔵尾根に入ると風も無く快適。
★山行形態:個人山行・アルパインアイスクライミング
★メンバー:山宮(L)、木村
★ルート:杉島ゲート→営林小屋跡→岳沢越→岳沢出合→F3下(テント泊)→F8ソーメン流しの滝→奥の二俣→大仙丈ヶ岳→仙丈ヶ岳→仙丈小屋(小屋泊)→(地蔵尾根を下る)→地蔵尾根柏木登山口駐車場
★ルート状況(2024.01.08現在のものです。)
◆アプローチ
・杉島ゲートから丸山谷北沢と南沢の分岐までは林道なので暗くても問題なく歩けます。
・丸山谷北沢と南沢の分岐から南沢の二俣までは堰堤を越えたり沢内も歩いたりしますが特に問題なく歩けます。
・南沢の二俣からすぐに左の尾根を登って高巻きます。(沢通しで行くと途中で悪い滝があり結局高巻きますがその高巻きは悪いと思われるので出だしから高巻くのが無難だと思います。)高巻くと薄いトレース道がありそこを歩いていくと営林小屋跡までは問題なく歩けます。
・岳沢越への沢筋の登りは踏み跡が判然とせずに初見では分かりにくいと思います。今回は前回と違い沢筋に雪がほとんど無く踏み抜きが無かったので行けるところまで沢筋を詰めました。氷瀑が出てきたら左の尾根を少し高巻き沢床に戻りました。(アイゼン履いてアックス持てば氷瀑は登れますが時間省略のため高巻きました。)沢床に戻ってあとは直上して岳沢越を越えていけばいいところ、近道しようと右上したら迷いました・・・その後ルート修正しながら岳沢越を下っていき正解ルートに合流、無事に三峰川へ下れました。
・三峰川へ下りるとそれなりに雪があり前日入った先行者のトレースを辿って左岸と右岸を交互に歩いて岳沢出合まで行きました。
◆三峰川岳沢(4級上 Ⅳ+)(ルートグレードは参考にした最新のトポ図からで、あとは個人的な感想です。)
・全体を通して雪が少ない印象でした。
・岳沢出合からも前日入った先行者のトレースがありそこまでの踏み抜きは無かったです。(先行者の方、ラッセルありがとうございます。)
・滝から滝の区間もトレースがありこまでの踏み抜きは無かったです。(吹き溜まり部分はトレース無し。)
・F1手前の前衛滝の滝壺が凍ってなくあれこれするも突破できなかったので高巻きを選択。右岸の巻きは登った後の下降が悪そうだったので灌木を利用して懸垂下降で下りました。
・F1~F9の状況は以下の通り。
▶F1:15m(木村リード)滝壺は凍ってないので左の方から登る。終了点は滝上奥の倒木にスリングで構築。
▶F2:10m(木村リード)F2手前に滝がありそれを登ると左のルンゼ奥に氷瀑、右にF2がある。F2は真ん中の凹角の階段状を登る。終了点はF3滝下の岩角にスリングで構築。(幕営予定地はF5~F6の間の岩小屋にしていたが、ここで16:20だったので先には進まずここで幕営。)
▶F3:50m(木村リード)右側の距離が短いラインから登って滝上からは左上。終了点はF4手前の氷にアイススクリュー3本で構築。
▶F4:30m(木村リード)中央凹角から左のラインの簡単なラインを登る。終了点は右岸の灌木から垂れ下がっている残置スリングを利用。
▶F5:20m(フリー)左側の雪に埋まっていたナメ滝みたいのがF5らしいが山宮先行でコンテで登る。(右側には貧弱な氷があったがそこは登らず。)
▶F6:2段60m(フリー)1段目は雪面に左から巻いているトレースがありましたが山宮先行でコンテで登る。(フォローの木村さんは肩絡みビレイで確保した。)2段目も1段目と同じような氷瀑で登れない事もなかったのですが氷瀑左端の雪道にトレースがあり時間ももったいないので巻きで登って最後の岩に突き当たったところで右にある氷瀑に移って登りました。(終了点としてF7下の氷にアイススクリュー1本で支点構築してフォローのKさんをボディービレイで確保する。)
▶F7:15m(フリー)山宮先行でコンテで登る。登れるところまで登って氷にアイススクリュー2本で終了点を構築しピッチを切りました。
▶F8(ソーメン流しの滝):110m(1P目、2P目とも木村リード)今回は1P目出だしが既にかなり上部でロープが70mあったので1Pで登れると思ったのですが2Pで登りました。1P目はスタート地点から少し右へ登って左へ登っていくと傾斜が緩い区間が終わりバーティカルな氷へ。バーティカル氷を半分の登ったところで氷にアイススクリュー3本で終了点を構築してピッチを切ってました。(普通F8を2P目で登る場合はバーティカルが始まる基部でピッチを切ると思いますが、今回木村さんはバーティカル氷を登っている時にロープ半分のコールが聞こえこの先は?上まで抜けれるのか?と思ったらしくバーティカル中間の半端なところでピッチを切ったそです。)フォローで登っていくとロープ引上げの際にロープトラブルになったらしく木村さんから『ここのロープをくぐってください』と言われましたが、ハンギングビレイ中でゴチャゴチャ面倒なので木村さんが構築した終了点の右(バーティカル氷の右端と岩の間のスタンスが安定したところ)の氷にアイススクリュー2本で新たに終了点を構築してロープを手繰ってロープトラブルを解消。2P目は木村さんは1P目終了点から左へトラバースして右上~直上する簡単なラインを選んでリード、フォローの私は1P目終了点から直上。しかし左へトラバースして登り始めるところにアイススクリューを1本打ってあったので直上から足元が微妙なところを左へトラバースする羽目に・・・(その後アックスを打ち込んで登ろうと荷重した瞬間ピック下の氷が割れて1回フォール。さっさと登ろうと焦りすぎでした。)2P目終了点は右岸の灌木にスリングで構築。ソーメン流しの滝は水っぽい氷でした。
▶F9:25m(木村リード)右から登れば登りごたえがありそうでしたが、時間が押してたので左の距離が短いラインを登る。終了点はどうだったかな?
▶おまけ2段氷瀑(フリー)1段目を登ると二俣になっていて左へのルンゼがあるがそこは詰めずに右の2段目の氷瀑を登る。終了点は適当な氷にアイススクリュー2本で構築。(フォローの木村さんはセカンドビレイで確保した。)登攀終了後ここでロープを片付ける。正面にまだ氷瀑が見えるが氷瀑下まで登ると二俣になっていて(ここがトポで言う奥の二俣かな。)ここから左のルンゼに入る。
・左のルンゼに入ると雪山登山の開始。体力勝負です!!ルンゼをそのまま詰めても登れそでしたが(前回はそうした。)今回は奥まで詰めず手前から岩と草付を登って左の尾根に乗り、雪の付いたハイマツ帯の斜面を正面に見える尾根まで登りました(この辺は前回と同じ)トポでは『奥の二俣で左に入り最後は右の尾根を登って大仙丈ヶ岳へ出る。』となってますが、『奥の二俣で左に入り最後は左の尾根へ登って尾根に出てそこから尾根上を歩いていき大仙丈ヶ岳へ出る。』と登ったほうが分かりやすいと思います。
◆大仙丈ヶ岳~仙丈小屋
・日没前に大仙丈ヶ岳に登頂できましたが、仙丈ヶ岳までの一般登山道途中で暗くなりヘッデン行動。暗くなってから吹雪いてきて視界は5mぐらい先が見えれば良いほうな状態でした。途中1箇所で登山道が分からなくなりましたが冷静に対応して無事仙丈ヶ岳まで到着しました。
・仙丈ヶ岳から仙丈小屋までも相変わらず視界が悪く登山道も判然としなかったので迷いましたが、冷静に対応して携帯GPSのおかげでなんとか無事に仙丈小屋まで辿り着けました。
◆下山
・地蔵尾根を下りました。地蔵尾根は相変わらず長かったですが最終日はこの下山のみだったので前回ほど疲れはしませんでした。
★感想:
(山宮)初日は岳沢乗越で『できるだけ登らずに近道を!』と木村さんの提案に乗っかりましたが結局迷って時間ロス(笑)その後F1前衛の滝壺が凍ってなくて悪い右岸高巻きからの懸垂下降で時間ロス。結局初日F5下幕営予定がF2下幕営でした。
2日目は明るくなるのと同時ぐらいに登攀開始。仙丈小屋までの工程なので時間に余裕があると思い、やる気満々の木村さんにいけるところまでリードを任せて楽々フォローで登攀。木村さんはバーティカルアイスでは苦戦してアックステンション多用で時間がかかってました。アイスパートを終えたころには怪しい雲と風が出てきたので、グローブを雪山縦走用に替え風で寒かったのでハードシェルの下にダウンを1枚着込んで雪山登山に突入。4kgほどあるロープが重く足がなかなか進みませんでした。なんとか日没前に大仙丈ヶ岳までは登れたので一安心と思いきや、暗くなってから吹雪いてきて視界は前方5mぐらい見えれば良いほう・・・仙丈ヶ岳までの縦走路で1回道筋が分からなくなり(前方は崖、左は崖、右は尾根が下ってて間違い尾根?な感じ)木村さんの携帯GPSで現在地を確認しようとするも寒さで携帯は即ダウン。紙の地図とコンパスで北に方向を定め右の尾根へ少し下ってみるとすぐにまた登りになったのでここが縦走路だろうと少し安心した。(間違い尾根の下りじゃなくて良かったです。それにしても5m先が見えないとはこうゆう事なのか!)しばらく歩くと縦走路だと確信でき、その後無事仙丈ヶ岳まで到着しましたた。ここからは地蔵尾根へ下る道と仙丈小屋へ下る道の分岐まで下るのですが、相変わらず視界が悪くて周りを注視しながら下ってはみたものの現在地がわからないと分岐まで来たのか来てないのか分からなかったです。『明るかったら問題なく、暗くても吹雪いてなかったらなんとか小屋が見えたかもしれないのにどうしよう?・・・よく小屋手前で低体温症から疲労凍死するのってこうゆう事なんだなー』と頭では冷静に考えてましたが行動は手詰まりになってました。風を除けれそうな雪庇下を掘って寒さを我慢してテン泊かなと考えましたが、木村さんから『仙丈ヶ岳まで登り返して小仙丈ヶ岳ルートから下りましょう』と言われ下りで迷ったときは登り返すのがベストと思いその案に乗っかるかと思いました。ただ登り返して小仙丈ヶ岳ルートから下りても現在地が分からないままなら仙丈小屋へ辿り着けないのでその案は最終手段として『古い携帯でいつも寒さに弱い自分の携帯GPSで現在地を確認してみてダメなら登り返しましょう。』と木村さんに提案してアテにしてなかった自分の携帯を見ると充電は60%以上。携帯電波もあったので拡大地図での現在地が分かったのでそれを頼りに小屋を目指すことにしました。携帯バッテリーはあったので携帯電源が落ちてもなんとかなるとは思いましたが充電は時間がかかり面倒になるので携帯電源が落ちないよう携帯はザックに片付けたまま(ハードシェル等のポケットに入れて持ち歩くと寒さでダウンするので)にして、数十メーター歩いては立ち止まってザックを下ろしザックの中で携帯を操作し現在地の確認を繰り返し(たぶん5~6回ぐらい)行いなんとか仙丈小屋を見つけることができ助かりました。
最終日は5時スタート11時下山完了で計画書を作成してましたが時間は頭に入っておらず6時起床で眠りにつきました。6時目覚ましでしたが小屋にいた同日に地蔵尾根を下るという2パーティーとも起きずに静かだったので私たちも起床時間を遅らせゆっくり朝食をとりパッキングにしていたら9時30分下山開始になりました。結果16時下山完了。連絡が遅れご心配をおかけしてすみませんでした。
今回はなんとか小屋に辿り着け事なきを得ませんでしたが、遭難事案でした。山の下調べはもちろんのこと、天気、タイムスケジュール把握はしっかりしないといけないと改めて思いました。また視界が効かない時は携帯GPSは必須だと思いました。
(木村)国内屈指のビッグルートだけあって、これでもか!と言うほど滝が連続します。当然、日帰りで抜けられる訳もなく、テント泊装備を背負ってのアイスクライミングとなります。岳沢超え、F1~F9の登攀、大仙丈ヶ岳への詰め、仙丈ヶ岳へ稜線歩き、長大な地蔵尾根の下山と盛り沢山。アプローチ、アイス登攀、デプローチとも体力勝負です。2日目、夕方から荒れる予報は分かっていましたが、その前に仙丈小屋へ到着する計画でした。しかし、その通りに行かないのがアルパインの常。稜線上に抜けてからバッチリそのタイミングにハマってしまいました。更に、仙丈ヶ岳へ向かう3,000mの稜線上で日没を迎える事に…。強風と風雪の中、山宮会長のルーファイでなんとか小屋に辿り着き事なきを得ました。反省点、多々有り、課題の多い山行となりました。故に、得るものも大きかったです!私のリクエストに付き合って頂いた山宮会長に感謝デス。
★山行の詳細はヤマレコにアップしてあります。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6359311.html









































