明星山P6南壁フリースピリッツ(新潟県)

★山域:明星山P6南壁フリースピリッツ(新潟県)

★日付:2023.11.05(日)

★天気:晴れ

★山行形態:個人山行、アルパインクライミング

★参加者:山宮(L)、神蔵

★ルート状況(2023.11.05現在)

◆駐車場~フリースピリッツ取付
・売店脇から踏み跡をたどって小滝川まで下ります。
・小滝川沿いを下流へ下り途中で渡渉します。
・小滝川左岸にフリースピリッツ取付があります。(壁にリングボルトが1つあるのが目印になります。)

◆フリースピリッツ(4級上 5.9)(ルートグレードは参考にした最新のトポ図からで、あとは山宮の個人的な感想です。)

全体を通して
・掴んだホールドがもげないかどうか要確認!!(明星は大きな岩も動くので注意!!)
・浮石・落石に注意!!(後続パーティーがいる場合は特に気をつけて!!)
・14P目の凹状の垂壁以外は残置中間支点は少ないです。(カムや灌木等を多用して対応できます。)
・各Pの終了点は写真の通りです。特に5P目の終了点の状態が悪いので気をつけてください!!

1P 草付の岩場を左上 40m Ⅲ(山宮リード)
・トポの1P目60mを2Pに分けて登りました。
・岩の露出は少なく木登り?草クライミング(笑)特に問題なく登れました。
・灌木で足元が見えにくいので注意が必要!!

2P 出だしの短い垂壁~バンドを左へ 20m Ⅲ(山宮リード)
・トポの1P目60mを2Pに分けて登りました。
・出だしの短い垂壁が核心。
・特に問題なく登れました。

3P 真上のフレーク沿いに右上 30m 5.7(山宮リード)
・トポの2P目。
・フレークを上手く使いながら登ります。(フレーク沿いに登ると一部悪い箇所があるのでそこは右のフェイスから登ります。)
・特に問題なく登れました。

4P 階段状フェースを右上~スラブを下ってトラバースしてランぺを右上 30m 5.7(山宮リード)
・トポの3P目。
・核心はルーファイ。(トラバース途中に上に残置リングボルトの連打が見えるがそれは無視する。)
・特に問題なく登れました。

5P 垂壁下を左上しウメボシ岩まで 15m 5.9(山宮リード)
・トポの4P目30mを2Pに分けて登りました。
・ロープの流れを考えていつも通りウメボシ岩の下でピッチを切りましたが、ここの終了点はだいぶ貧弱になっていてカム等で補強も出来ないのでここでピッチを切るのは止めた方がいいかも・・・。
・特に問題なく登れました。

6P ウメボシ岩を越えて右下へトラバース 15m 5.9(山宮リード)
・トポの4P目30mを2Pに分けて登りました。
・凹角にあるウメボシ岩を左から上まで登り、バンドをホールドにしてスタンスはスラブの細かいところに乗って下り気味にトラバースしました。
・プアな灌木からしか中間支点が取れないので墜落厳禁です!
・特に問題なく登れました。

7P 垂壁からカンテを右に越えフェイス 20m 5.8(山宮リード)
・トポの5P目。
・核心はカンテを越えるところで良いスタンスが無く、ちょうど良いところにこれを使ってください的な残置があります(笑)
・今回は乾いていたのでフリーで問題なく登れましたが、ルート中で1~2番目に悪いところだと思います。

8P ハング切れ目の凹角から緩傾斜の階段状フェイス 30m 5.8(山宮リード)
・トポの6P目。
・核心は凹角を抜けるまでの出だしとその後のルーファイ。
・凹角を抜けると景色が開けます。右に見えるスラブにはたくさん残置中間支点が見えますがそちらへは迷い込まず残置中間支点の無い階段状フェイスを上へ登るとハング帯下に終了点が見えてきます。
・ガバホールド多数ですが明星は大きな岩も動くことがあるのでリードはもげなさそうな岩を選んで登ることが重要です!!
・特に問題なく登れました。

9P ハング帯を左へ行きカンテ裏のクラックを越える 40m 5.8(山宮リード)
・トポの7P目。
・クラックの処理はジャムよりレイバックを多用して登る感じです。(カムがあれば使えます。)
・特に問題なく登れました

10P ガレ場から一段上のテラスへ 40m Ⅱ(山宮リード)
・トポの8P目。
・中央バンドのガレ場の左の岩をしばらく登って適当なところでガレバ場を横断して適当なところから一段上のテラスへ登ります。
・特に問題なく登れました。
・終了点は適当な灌木にスリングで構築。

11P ランぺを右上 40m Ⅳ(山宮リード)
・トポの9P目。
・ペツルのハンガーボルト2つの終了点になります。(ロープスケルは45~50mぐらいとトポより若干長いので50mロープで足りるかどうか不安になりますが、めい一杯伸ばして右上するとハンガーボルトが見えてきます。)
・特に問題なく登れました。

12P 凹角を直上して左に見える階段状の凹角を登る 30m Ⅳ+(山宮リード)
・トポの10P目。
・トポでは『カンテ右の垂壁~バンドを右上~階段状の凹角 5.7』となってます。トポでは11P目終了点から正面の凹角がⅣ+のJADEラインということになってますが、凹角Ⅳ+の左壁には残置中間支点がハンガーのラインがありこれが普通に考えてJADEだと思います。今回ハンガーのラインを途中まで登ってみたが5.7にしては難しいので諦めて途中から凹角Ⅳ+ラインへ戻ってそこを登りました。(前回と前々回も凹角Ⅳ+ラインを登ってます。その時の終了点は階段状の凹角を登らずバンド右にあるじJADEの終了点のハンガー2つを使ってます。)
・このピッチはバンドを右上してから階段状の凹角を登るはずなのにバンドを左から登って階段状の凹角を登っているので正規ルートから外れていることは明らかです。
・以上のことからカンテ右の垂壁の出だしは11P終了点からだいぶ左へいったところになると思います。(フリースピリッツのラインはJADEのラインより左を登るので)ということは11P目の終了点はJADEの終了点であるハンガー2つを使わないでもっと手前で切るってことなのかな?

13P バンドをトラバース 20m Ⅳ(山宮リード)
・トポの11P目。
・バンドは一番上のバンドに立ってトラバースすると壁のホールドは悪いので一番上のバンドをホールドにして1段下のバンドっぽいところをスタンスにして歩きます。
・トバースは落石を落とさないよう気を使いながら歩きました。
・下を見れば確かに高度感はありますが、スタンスはあるので問題ありません。

14P 凹状の垂壁から凹角を越える 40m 5.8(神蔵リード)
・トポの12P目。
・ルートの中で一番多くの残置支点がありました。フリーのテクニック的には一番難しいと思ったピッチだと思います。
・凹状垂壁の左壁を登り上の段は凹角の右上しました。
・終了点は上部の灌木と角岩で取りました。(ロープスケル45~50mぐらい。)
・8P目ぐらいから足の両親指が痛くなっていて(前日・前々日に2日間歩いていたのでいつもより足が浮腫むのが早かった?)細かいスタンスに立てずカチに耐えれなくスタンスでA0を1回、ホールドとしてのヌンチャクA0を1回しました・・・弱っ!!

15P 緩傾斜帯を左上に見えるスカイラインまで 25~30m Ⅱ~Ⅲ(山宮リード)
・ロープを片付ける選択肢もありましたが念のためアンザイレンを解かずにスタカットで登りました。
・スカイラインまで登り灌木で終了点を取りました。
・今回はここでアンザイレン解除しました。

◆15P目終了点~西面下降路~小滝川~駐車場
・15P目終了点から西面下降路への目印松の木がある地点まで踏み跡っぽいところをクライムダウンで下りました。そこから西面下降路から下山しました。

★感想:

(山宮)先月の明星山P6南壁の山岳会山行の後に進藤満さんから来年は左岩稜の次のステップとしてフリースピリッツを登ってみたいということで、今回はその下見で山宮さんルート案内お願いしますと打診があった。神蔵さんはアルパイン3回しか経験がありませんが登攀力は有るのでオールフォローならOKするかなー?とお誘いして3人で登る計画を立てました。進藤まり子さんも参加予定になり2-2でパーティーを組んで登る計画に変更しましたが進藤さんたちは都合が悪くなり神蔵さんと2人で登ることになりました。下ノ廊下から下山して天気予報をチェックすると前日夜に雨マーク・・・家には帰らず夜に駐車場に着きましたが道路は濡れておらず小雨も降ってなかったので一安心して酒飲んで車中泊しました。過去2回は最初の方の数ピッチは濡れていたのに今回は濡れているところ無し。良い条件で登れました。この日のフリースピリッツは貸切りで神蔵さんも後ろから煽られることなく登ることができたのでラッキーでした。オールリードで登る予定でしたが、8P目ぐらいから足の両親指が痛くなっていたので(前日・前々日と2日間歩いていたのでいつもより足が浮腫むのが早かった?)14P目のリードは神蔵さんに任せました。フォローで登った14P目は案の定細かいスタンスに立てずカチにも耐えれなくスタンスでA0を1回、ホールドとしてのヌンチャクA0を1回しました・・・弱っ!!岩がもげるかもげないかリードではいつも気にしながら登っているので岩がもげる剥がれる等で不意落ちは無いと思ってます。そして簡単なところでは落ちるという意識は無いので中間支点はあまり取らずにランナウトしてても怖さはありません。ですがフォローをビレイ中に下を見ると普通に10m以上ランナウトしてると気付きもう少し中間支点を取るべきか?と思ったりもします(笑)前々回にTさんとつるべで登った時の登攀時間は6時間42分(休憩43分)、前回の吉川さんとつるべで登った時の登攀時間は5時間39分(休憩26分)、今回14P目以外私がリードで登った結果は8時間14分(休憩32分)・・・だいぶ時間がかかってますがアルパイン4回目の神蔵さんにしては頑張ったと思いますw

(神蔵)進藤さんたちが参加キャンセルになり山宮さんとふたりで行く事に。「お客様」とはいえアルパインは基本フォローもフォールは許されないしトラバースの多いルートなので不安いっぱい。でもそれよりわたしのビレイでリードしなければならない山宮さんのリスクを考えると最後までミスなくしっかりやらねばとその一心でした。ロープワークは練習通り落ち着いて「確実に」、毎回のギアとロープの受け渡しもトラブルはできる限り避けたいので「丁寧に」、を意識しました。登攀ではフリーを心がけましたがトポ5ピッチ目のカンテを超えた先でここに足を置くよねっという位置にハーケンが打ってあったので使用…。あとはなんとかアドバイスをもらいながらA0せずに突破できました(所詮フォローなので)。最終ピッチの垂壁は中間支点が見える範囲にたくさんありルートも直上するだけだったので山宮さんの指令に従いリード出来ましたがその他はルーファイ力とNPを扱える技術がないので無理だと思います。アルパインで自立するにはあらゆる技術と知識、現場経験が必要だと改めて実感しました。日頃からロープワークやフリーの指導をしてくれた会の皆さんのおかげで今シーズンの集大成となる山行が出来きました。ありがとうございました。

★山行の詳細はヤマレコにアップしてあります。

https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6156406.html

1P目
2P目を登ってくる神蔵
3P目
3P目を登ってくる神蔵
4P目
4P目を登ってくる神蔵
5P目は梅干し岩下でピッチを切る
5P目を登ってくる神蔵
5P目終了点にいる神蔵
6P目を登ってくる神蔵
6P目終了点でビレイする山宮
7P目
8P目
9P目をリードする山宮
10P目
中央バンドより上部の岩壁を見上げる
11P目
12P目
出だしから左のフェイスを登り左のカンテへ回り込もうとしたが悪いので右の凹角を登った
12P目を登ってくる神蔵
13P目
13P目を登ってくる神蔵
14P目をリードする神蔵
すいすいと登っていく
14P目終了点でビレイする神蔵
14P目を登ってくる山宮
念のため15P目もアンザイレンでスタカットで登る
目印の松の木から西面下降路を下山

投稿者: 新潟クライミングクラブ

新潟クライミングクラブは新潟市にある山岳会です。フリークライミング、クラッククライミング、アルパインクライミング、アイスクライミング、沢登り、山スキーなど幅広く活動しています。

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