一ノ倉沢烏帽子沢奥壁凹状岩壁(谷川岳)

★山域:一ノ倉沢烏帽子沢奥壁凹状岩壁(谷川岳)

★日付:2022.06.19(日)

★天気:曇り時々晴れ

★山行形態:個人山行、アルパインクライミング

★参加者:山宮(L)、進藤み

★ルート:谷川岳ベースプラザ→一ノ倉沢出合→(一ノ倉沢の雪渓を登る)→テールリッジ基部→(テールリッジを登る)→中央稜取付→凹状岩壁取付→(凹状岩壁を登攀)→8P目終了点(凹状岩壁終了点)→衝立の頭→北稜下降路の懸垂下降開始地点→(懸垂下降を6回)→ピナクル→衝立前沢に合流→(衝立前沢を下る)→一ノ倉沢に合流→(一ノ倉沢の雪渓を下る) →一ノ倉沢出合 →谷川岳ベースプラザ

★ルート状況(2022年6/19現在のものです。)

◆アプローチ(一ノ倉沢出合~テールリッジ基部)
・一ノ倉沢出合からテールリッジ基部まで雪渓通しで歩けます。
・雪渓歩きに慣れてない人はチェーンスパイク等があると安心だと思います。

◆アプローチ(テールリッジ基部~中央稜取付~凹状岩壁取付)
・岩が乾いている状態なら問題なく歩けますが濡れているときはスリップ注意!!(濡れ防止や軽さをも求めてアプローチシューズ以外の靴を履いてくると濡れている岩では滑って怖いらしいです。靴が濡れることは諦めクライミング時用の替えの靴下を携行してくることをお勧めします。)

◆一ノ倉沢烏帽子沢奥壁凹状岩壁(4級下、Ⅳ+)

ルート全般
・岩が脆いので岩が剥がれたり落石させたりしないよう注意が必要です。
・5P目のカンテを越えるまでは中央カンテの落石が凹状ルートに落ちてくるので中央カンテに入るパーティーよりも先に取付いた方が良いと思います。また先行パーティーがいる場合も同様に落石の注意が必要です!
・1P~6P目までと8P目の終了点まで新しいコングのハンガー2つ(8P目終了点は1つ)になっていました。整備された方、ありがとうございます。

1P バンド~フェース Ⅲ+ 40m(進藤みリード)
・バンドのトラバースは相変わらず歩き辛いです。
・フェースは特に問題なく登れました。
・残置支点はそれなりにあります。
・終了点はハンガー2つ
 
2P 緩いフェース Ⅲ 50m(進藤みリード)
・特に問題なく登れました。
・残置中間支点はほとんどありません。
・終了点はハンガー2つ
 
3P  緩いフェース Ⅲ 15m(進藤みリード)
・特に問題なく登れました。
・残置中間支点は2~3だったかな?
・終了点はハンガー2つ

4P 垂壁 Ⅳ+ 30m(山宮リード)
・ホールドはしっかりしたものを探せばそれなりにありスタンスも外傾はしていますが多くあるので普通に登れました。
・残置中間支点はロープスケル30mでリングボルトと残置ハーケンの2つ。(残置中間支点が少ないので精神的なプレッシャーを感じる人もいると思います。)
・終了点はハンガー2つ

5P カンテを越え右のハングを越える Ⅳ 35m(山宮リード)
・濡れていると嫌らしいと思いますが今回は乾いていたので大胆なムーブでハングを越えました。
・残置中間支点はカンテを越えるところにリングボルト1つ、ハングを越えるところに残置ハーケンが2つ。
・終了点はハンガー2つ

6P 脆いリッジ状~凹角 Ⅳ+ 40m(山宮リード)
・6P目はルーファイに迷いました。スタートから少し上がってリッジへと右上してリッジを越えて凹角に入りバック&フットで高度を上げてからリッジの方へ戻ってリッジ沿いに登りその後凹角を登りました。残置支点を見るとおそらくリッジ上を登るのが正解のような気もしますが面白いムーブで登れて面白かったです!皆さんも是非(笑)(フォローの進藤みさんには凹角には出なくてもリッジを登れますと伝えました。)
・残置支点はそれなりにありました。(バック&フットした凹角内には下の方(スタンス用?)に残置ハーケンが1つのみ。)
・終了点はハンガー2つ

7P 凹角~草付 Ⅲ 30m(進藤みリード)
・7P目は染み出し(草付のせい?)なのか岩が濡れていて滑りそうで悪かったです。
・岩のところには残置支点があり草付は灌木で中間支点がとれます。
・終了点はフレーク状クラックが始まるテラスの1段下のテラスの残置ハーケン3つのところで構築。

8P 草付フェイス~フレーク状クラック~草付の階段状 Ⅳ+ 40m(山宮リード)
・出だしの草付フェイスは濡れていて滑りそうで悪かったです。
・フレーク状クラックが始まるテラスには残置ハーケンが固まって4つありました。(ここでピッチも切れそうでした。)
・フレーク状クラックはレイバック気味で登りました。
・草付の階段状へ豪快に乗越そうとクラック上部の岩を掴んで荷重したら胴体ぐらいの岩が動いたのでそっと登りました・・・。
・残置支点はそれなりにありました。
・終了点はハンガー1つと大きな岩に巻かれた残置スリング。

◆下降(凹状岩壁の終了点から衝立の頭)
・踏み跡あるので迷いはしないです。
・1箇所、それなりの傾斜で高さのある岩壁をクライムダウンします。(古びた残置ロープがあるので命綱代わりに思いっきり荷重しないように掴みながら下りました。)

◆下降(衝立の頭からピナクル)
・衝立の頭から北稜の下降路を懸垂下降しました。(衝立の頭から踏み跡を辿って下っていくと懸垂下降支点があります。)
・懸垂下降の回数は6回。
・トポでは3回目の懸垂下降以後は懸垂下降したあとに右下にある次の懸垂下降支点まで移動してまたそこから懸垂下降をするという感じの図になっていましたが、次の懸垂下降支点までめいいっぱい懸垂下降し、フリーで下る状況を作りませんでした。
・北稜下降路は2人とも2回目なのでスムーズに下れました。(初見でガスっていて視界が効かない場合は支点を探すのに苦労するかもしれないし迷うかもしれません。)
・懸垂支点、ロープスケル、ワンポイントアドバイスは以下のとおりです。(カッコ内の数字ははトポの懸垂下降ロープスケル+右下へのフリーでの移動分です。)
 ①ハンガーボルト、40m、問題なし。
 ②木の残置スリング&カラビナ、40m、問題なし。
 ③リングボルトとハーケン、50m(40m+10m)でぎり、笹薮がひどくなる。スタックに注意!!
 ④木の残置スリング&カラビナ、40m(20m+20m)、だいぶ右の方向へ下るのでロープが屈曲します。先行者は懸垂下降終了したらロープが引けるか確認を忘れずに!!また、スタックにも注意!!(この区間、下り始めてから5mぐらいのところにも懸垂下降支点がありますがそこはスルーしました。そこでピッチを切っても右へ右へと更に屈曲するのでここでピッチを切ってもスタック対策になるのかなー?)トポのとおり20m真っすぐ下ってから残りの右へ右へと下る区間をフリーで下ることもできないことはないと思いますが(フリー区間は灌木を掴みながらクライムダウンできそうではあるが・・・)落ちたら終わりなのでフリーはおすすめしません!
 ⑤木の残置スリング&カラビナ、50m(40m+10m)、若干の空中懸垂があるが問題なし。
 ⑥ハンガーボルト、50m(20m+30m)、ピナクルまで行けます。(ピナクル脇にリングボルト2つの残置支点があります。)

◆下降(ピナクル~衝立前沢~一ノ倉沢)
・ピナクルでロープは片付けました。
・雪渓までは踏み跡を辿って下ります。
・雪渓が残っていましたがチェーンスパイクは使いませんでした。無名沢(衝立前沢の一つ手前の沢)の右岸側の雪の無い灌木帯の際を灌木を掴みながら下っていき、灌木を掴んで雪渓を横断できるところ横断、左岸側の際を灌木を掴みながら登って衝立前沢に合流しました。
・衝立前沢はクライムダウンを交えながらフリーで下り(トラロープがフィックスしてあるところが右岸側に1箇所あり)、終盤に50mロープ1本で懸垂下降を1回しました。(トポではロープスケル20m)
・衝立前沢のスノーブリッジ状になっている雪渓へは右端から乗りました。まだまだ崩れそうになさそうでしたが状況判断に注意が必要です。
・一ノ倉沢出合までは雪渓通しで歩けました。

★感想:

(山宮)6/19(日)は山岳会山行で布岩の予定でしたが日曜日の天気予報がいまいちだったので前日の6/18(土)に日程が変更になりました。予報の悪い日曜日は『ジムか?レストか?それとも里山で歩荷トレか?』と思ってましたが、金曜日に天気予報を見ると日曜日も何とかなりそうな予報に変わっていたので急遽、進藤みさんを誘って凹状岩壁へ行くことにしました。前回は5P目でリード石附さんのフォール負傷で敗退、前々回はテールリッジ途中で雨敗退でしたが、今回は問題なく上まで登れました。(進藤みさんにお願いして4~6Pと8Pをリードさせてもらいました。A0無くオールフリーで登れて良かったです。)6P目はルーファイに迷いました。スタートから少し上がってリッジへと右上してリッジを越えて凹角に入りバック&フットで高度を上げてからリッジの方へ戻ってリッジ沿いに登りその後凹角を登りました。残置支点を見るとおそらくリッジ上を登るのが正解のような気もしますが面白いムーブで登れて面白かったです!皆さんも是非(笑)8P目は岩が硬くて快適とのネット情報があったので草付の階段状へ豪快に乗越そうとクラック上部の岩を掴んで荷重したら胴体ぐらいの岩が動いたのでそっと登りました。お昼過ぎから雨予報の天気予報もあったせいか日曜日なのに他のパーティーは見かけませんでした。(3ルンゼに知人が入ってたと下山後に知りましたが。)反省点としては懸垂下降4回目でロープがスタックして少し登り返しました。(草付なので草を掴みながらフリーで。)この区間の懸垂下降は右へ右へと屈曲しながら下る懸垂下降で、木が倒れ木の根の部分がむき出しのところがあり、ロープが土付きの木の根に食い込んでロープスタックしてました。(昨年下りたときこんな状態の木は無かったと記憶してますが・・・)2番手の私が懸垂下降時にロープが木の根に干渉しないよう工夫して下りれば良かったのですが大丈夫だろうと(記憶ではそこまで右へ屈曲するとは思ってなかったのでロープスタックはしないだろうと思いました。)そのまま下降したのが悪かったと思います。

(進藤み)昼から雨予報の中での登攀でしたが、雨に降られることもなく、しかも一ノ倉貸切状態でした。中央カンテ同様、岩は脆かったです。それと草付き泥付きで足が決まりにくい所が多くありました。前回の中央稜は渋滞で北稜からの下降が出来なかったのですが今回は北稜からの下降が出来たので6回の懸垂全て自分が投げないやり方でさせてもらって絡まる事なく上手くいったのは良かったです。1ヵ所ロープを回収する時、木の根と土にロープが挟まり動かなかったのは焦りました。今回1~3Pと7Pをリードで核心部4~6Pと8Pはフォローだったので次回は少し挑戦したいと思います。山宮さん、痺れる所もありましたが楽しかったです。また行きましょう。よろしくお願いします。

★山行の詳細はヤマレコにアップしてあります。

https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4417149.html

テールリッジを目指し一ノ倉沢の雪渓を登る
いつも衝立岩
凹状岩壁登攀開始
1P目終了点でビレイする進藤み
2P目終了点でビレイする進藤み
3P目終了点でビレイする進藤み
4P目を見上げる
4P目を登ってくる進藤み
5P目、山宮リード
6P目、山宮リード
7P目終了点でビレイする進藤み
8P目のフレーク状クラックを見上げる
8P最後の草付の階段状
ローソク岩を左手にポーズをとる進藤み
古びた残置ロープを命綱代わり掴んでクライムダウンする進藤み
衝立の頭
1回目の懸垂下降中の進藤み
山宮の2回目の懸垂下降中に下をパチリ
山宮の3回目の懸垂下降中に下をパチリ
山宮の4回目の懸垂下降中に上をパチリ
5回目の懸垂下降中の山宮
6回目の懸垂下降でピナクルに到達した進藤み
6回目の懸垂下降中の山宮
ピナクル
ピナクルから下ってくる進藤み
無名沢の右岸側を下って灌木を掴んで雪渓を横断できるところ横断
無名沢の左岸側の際を灌木を掴みながら登って衝立前沢の合流部へ
登ってくる進藤み
衝立前沢を下る
懸垂下降の準備中
懸垂下降中
懸垂下降した衝立前沢の滝
大きな口を開けた雪渓は右側から乗った
一ノ倉沢に合流
記念撮影
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投稿者: 新潟クライミングクラブ

新潟クライミングクラブは新潟市にある山岳会です。「角田山からヒマラヤまで!!」を合言葉にアルパインクライミングを中心に活動しています。

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