鹿島槍ヶ岳東尾根(北アルプス)

★山域:鹿島槍ヶ岳東尾根(北アルプス)

★日付:2022.05.03(火)~05(木)

★天気:5/3 晴れ、5/4 晴れ(朝から風があり時折強風で微妙なトラバース時には耐風姿勢も。北峰を越えると更に風が強くなり南峰を下るにつれ風は弱まる。)、5/5 晴れ

★山行形態:山岳会山行、アルパインクライミング

★メンバー:山宮(CL)、石附(SL)、進藤み、進藤ま、羽田、銅谷、長谷川、工藤

★ルート状況(2022年5/5現在のものです。)

【東尾根】
・取付から暫くは雪がありませんでした。途中から雪も出てきましたが雪が繋がってないところもあり藪漕ぎもありました。

・1700mぐらいから雪が多く出てきて、ようやく快適な雪道の登りが始まると思いましたが、所々で雪が繋がっておらず二ノ沢の頭までは雪道と藪漕ぎとのミックスの登り。ナイフリッジ状に雪が残っているところで雪が腐っていて微妙な歩きわ強いられるところも数か所ありました。

・幕営地の二ノ沢の頭から鹿島槍ヶ岳北峰までは第1、第2岩峰を除けば雪道歩きでした。雪は締まっていてトレースもあり歩きやすかったです。急な斜面の雪壁の登りやトラバースもありましたが問題なく歩けました。ただ微妙なトラバース時に時折強風が吹いて耐風姿勢でしのぐ場面もありました。

・第1岩峰は出だし10mぐらい?が階段状の岩登りでそれ以降は灌木混じりの少し傾斜のある雪壁を登る感じでした。(雪量にもよりますが10mぐらい?登ったところにある残置ハーケン3つで終了点を作り、そこでスタカットを終了してそれ以降はフリーで登ると時間短縮になると思います。)
山宮は先行パーティーたちがピッチを切っていたところではピッチを切らずにロープを50mいっぱい出して灌木で終了点を構築し2人目以降はマイクロトラクションやタイブロックで確保しながら登ってもらいました。(最終者はフォローで登りました。)その後の上部は傾斜の緩い雪壁&ハイマツや灌木があるのでフリーで登ってもらいました。(2人目の進藤みさんが上に抜けてフリーでも問題ないことを確認、3人目以降は上から指示してもらいました。)

・第2岩峰は先行パーティーのリードのビレイ解除の声を聴き登攀開始。先行パーティーたちがピッチを切っていたところまで登ると先行パーティーのフォローがまだ核心を越えていなかったので暫く待機。終了点は先行パーティーが空けてくれた岩峰右上のRCCボルト1つとリングボルト2つで構築しました。しかし、2人目の進藤みさんがマイクロトラクションで確保しながら登ってきた時に確保解除する場所が狭いし不安定で危なかったので左奥の灌木に残置スリングが巻いてある所へ移動しスリングを1本足して終了点を構築し、3人目以降はマイクロトラクションやタイブロックで確保しながらここまで登ってもらいました。(最終者はフォローで登りました。)

・第2岩峰のチョックストーンの左奥の岩や左壁上部の岩が動くので慎重に登りました。上部抜け口も雪が無く浮石が多いので落石に注意しながら登り、登らせました。

【鹿島槍ヶ岳北峰~鹿島槍ヶ岳南峰】
・雪が残る夏道を歩きました。特に問題はありませんでしたが風が強かったです。

【鹿島槍ヶ岳南峰~冷池山荘~冷乗越】
・布引山を下ったところまでは雪が残る夏道を歩きました。その後はトレースのある雪道を冷池山荘まで歩き幕営。冷池山荘からは暫く雪道でその後は雪が残る夏道を冷乗越まで歩きました。

【冷乗越~赤岩尾根の途中】
・雪が残る夏道を歩きました。雪は締まっていてトレースもあり歩きやすかったです。

【赤岩尾根の途中~西沢~西俣出合】
・赤岩尾根の途中で西沢の雪渓へ下りれるところがありました。雪渓にはトレースがあったので前日までに誰かしら下りていることは想像ができ朝一で雪の状態もよく雪崩れの危険性も限りなく低かったので協議した結果、西俣出合まで西沢の雪渓を下ることにしました。

・雪の状態は良く歩きやすかったです。ただ朝一でちょうど良い感じの雪の緩みだったので、遅い時間での下山ルートの選択肢としては無しかなと思います。

・西沢末端は雪が解け滝が露出してました。左岸の灌木沿いを下って河原の雪面に下り渡渉して林道へ上がりました。

★感想:

(山宮)今回の参加メンバーは足並みが揃っていませんでしたが、3日間とも天気にも恵まれ、予定の工程通りに行動でき、皆んなが無事に下山できて良かったです。約20kg歩荷しての山行でしたが、工程をゆったり2泊3日にしていたし体力のないメンバーを待ったりとか先行パーティーが岩峰を登るのを待ったりとかでペースがゆっくりだったので特に疲れはしませんでした。東尾根では雪が繋がってないところは藪で快適には歩けなかったですが、鹿島槍ヶ岳北峰から先の一般登山道に合流した後はほぼ夏道が出ていて残雪の夏道歩きだったのでグッと難易度が下がっていてたので今回のメンバーには良かったと思います。鹿島槍ヶ岳東尾根は3年前の3月後半に1泊2日予定で入山して、初日の夕方に鹿島槍ヶ岳南峰の雪壁で東谷へ滑落した豊岡さんを探して雪壁を下降中に自分も滑落してしまい(その時はガスってて豊岡さんが800m下まで滑落してたことがわかってなかった)遭難したルートでしたが、今回は自分の足で下山までできて良かったです。また滑落現場付近で豊岡さんに花と線香をあげてこれて良かったです。特に反省という事ではないのですが、今回、第1・第2岩峰の基部で先行パーティーが登るまでの待機中は風が強く個々でダウン等を着込んで寒さをしのぎましたが、ツエルトがあれば2~3人で固まって包まって防寒でき、もう少し暖かく待機できたんじゃないのかなーと思いました。(今回はテントがあるので軽量化てツエルトは携行しなかった。テント泊でツエルトを携行しなかった場合はテントフライの活用も有り?)人気ルートで待機が発生することが予想される山行のときは検討したいと思います。

(石附)3日間天候に恵まれ、最後まで予定どうりに行動でき、とても気持ちのいい山行でした。徹底した軽量化とそれによる不便さ、夜の寒さ、個人的にはこういう経験がスキルアップになると思っています。ありがとうございました。山宮リーダーもあの人数で全体を見るのは大変だったと思います。お疲れさまでした!

(進藤み)日頃のアイゼン・歩荷トレの成果か、歩き登攀共に問題なくこなせたと思います。問題があったとすれば天気が良かったのにも関わらず夜寝ている時の寒さが厳しく感じたので軽量化をしていく中で寒さ対策をどう両立させるかを今後の課題にしたいと思いました。

(進藤ま)今回重い荷物を担いでいることもあり2100mを越えた辺りから急激にペースダウンしてしまいました。今後の課題としてなるべく2500m以上の山を登る様にして高所に慣れるようにしていきたいと思いました。テン泊慣れしていない私達は皆さんの食事や持ち物、朝起きてからの行動等いろいろと参考になりました。今後に生かしていきたいと思います。今回8名でのパーティーを山宮会長CLを先頭に最後尾を石附副会長SLでしっかりと見守ってもらいながら安全に2泊3日を過ごせたこと本当に感謝しかありません。ありがとうございました。

(羽田)谷川東尾根に続き、冬山登山の総合力がステップアップし、2泊3日の残雪期を初めて経験し学ぶ事が多々ありました。天気に恵まれ、素晴らしい景色が見られ良かったです。

(銅谷)荷物軽量化はパッキング下手な私には難しかったが共同装備で分担されていた物もあったのでコンパクトに収められ、それ程不自由さは感じられなかった。荷を担いでの第2岩峰がなかなか登れなくて時間をかけてしまったので、時々はそう言う練習も必要だと思った。雪稜でのトラバース、ピッケルの差し方、雪稜下山での歩き方…等まだまだ教えて貰う事が多かった。相変わらず遅い私で皆様にお世話になり本当にありがとうございました!!

(長谷川)

(工藤)初めての全歩荷での残雪期二泊三日はとても不安でしたが、色々我慢して軽量化に努め、無事に全行程を終えることができて良かったです。第2岩峰の核心はリードでなんてとても手も足も出なそうでした。山宮会長、石附副会長、お世話になった皆様本当にありがとうございました。この度も皆様から多々学ばせていただきとても実りある山行でありました。

★山行の詳細はヤマレコとヤマップにアップしてあります。

https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4259370.html

https://yamap.com/activities/17110725

5/3、大谷原登山口
出発
東尾根取付
しばらく藪道
雪道は快適
楽しそう
藪漕ぎ中のメンバー
一ノ沢の頭を目指す
一ノ沢の頭にて
二ノ沢の頭を目指す
雪と藪のミックス
二ノ沢の頭でテン泊
5/4、夜明け
二ノ沢の頭にて
気持ちの良い朝
第1岩峰が見えた
第1岩峰を登る銅谷
第1岩峰を登る進藤ま
第1岩峰を登る銅谷と進藤ま
第2岩峰を目指す
第2岩峰を登る山宮
第2岩峰を登る進藤み
第2岩峰を登ってきた進藤ま
鹿島槍ヶ岳北峰を目指す
北峰までのビクトリーロード
鹿島槍ヶ岳北峰にて
工藤
鹿島槍ヶ岳南峰を目指す
目の前に鹿島槍ヶ岳南峰
滑落した東谷と救助された尾根を見下ろす
花と線香をあげ、酒をそそいで合掌
豊岡さんが滑落した付近から東谷を見下ろす
鹿島槍ヶ岳南峰で記念撮影その1
鹿島槍ヶ岳南峰で記念撮影その2
冷池山荘を目指して下山
冷池山荘でテント泊
5/5、鹿島槍ヶ岳
冷池山荘を後にする
冷乗越から赤岩尾根へ
雪壁をトラバースするメンバー
トラバースからの下降
雪の付いた赤岩尾根
ここから西沢の雪渓へ
西沢の雪渓を下る
雪渓下りは早い
西俣出合まで下る
雪渓末端は滝が露出していたので左岸から河原へ下る
渡渉して林道へ
大谷原登山口に到着し登山終了
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投稿者: 新潟クライミングクラブ

新潟クライミングクラブは新潟市にある山岳会です。「角田山からヒマラヤまで!!」を合言葉にアルパインクライミングを中心に活動しています。

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