幽ノ沢左俣中央ルンゼ(谷川岳)

★山域:幽ノ沢左俣中央ルンゼ(谷川岳)

★日付:2021.11.06(土)

★天気:晴れ

★山行形態:個人山行、アルパインクライミング

★参加者:山宮(L)、進藤み

★ルート状況(2021年11/6現在のものです。)

◆幽ノ沢出合~中央ルンゼ取付
・幽ノ沢出合から沢登りになります。沢靴の方が安心して歩けます。
・二俣下の大滝は滝左側をフリーで登りました。
・二俣から左俣へ入るところはフリーで登りましたが少し嫌な感じです。
・左俣は途中から右岸に高巻き灌木や笹を掴みながら登っていき、適当なところで懸垂下降で沢床に下り、今度は左俣の左岸へ登り中の尾根を登って中央ルンゼ取付となるスラブへ行きました。

◆幽ノ沢左俣中央ルンゼ(4級下 Ⅳ、A1)(ルートグレードは参考にした最新のトポ図からで、あとは個人的な感想です。)

【全体を通して】
・1P目の小ハング、5P目の右のカンテへ行くところは岩が脆い部分もありました。できるだけ優しく慎重に登る注意が必要です。
・各ピッチの終了点は自分で構築しなくてはいけないところが多数ありました。また、終了点があっても微妙なものばかりでした。
・易しいところは残置支点はほぼありません。1P目の小ハング、5P目の右のカンテへ行くところ、カンテから右へトラバースするところには残置支点がたくさんありましたが、どれも頼りない感じのものばかりでした。
・易しいスラブの登りでは残置支点は無く(あっても1つぐらい)ランナーを取れそうなところを探しても無いのでランナウトしながら登りました。岩が乾いていればⅢ程度のスラブ登りなのでフォールはしないと思います。掴んだ岩にめいいっぱい荷重しその結果その岩が剥がれてしまってフォールするという事ぐらいしか落下の危険性は無いと思ったので岩が剥がれないかどうかだけを注意しながら登りました。(基本3点支持で登れるので岩が剥がれても落ちないように登りました。)
・残置支点が少なくナチプロも取りにくい、残置支点が多くあるピッチも貧弱な支点ばかり、終了点も貧弱、という観点から岩が濡れているときは登攀しないほうが良いと思います。

【中央ルンゼカールボーデン スラブ Ⅲ~Ⅳ】
・中央ルンゼ取付から小ハング下までの約100mぐらいのスラブを登ります。
・フリーで登りました。
・特に難しいところはありません。

【1P 小ハング~スラブ Ⅳ 20m】(山宮リード)
・ピッチスタートには残置ハーケンが2つあり、そこで支点を構築しました。
・このピッチからロープを出してアンザイレンしてスタカットで登攀しました。
・小ハングのところには残置支点がたくさんありましたが、どれも頼りない感じのものばかりでした。
・小ハングを越えると易しいスラブの登りでした。易しいスラブの区間は残置支点は無くランナーを取れそうなところを探しても無いので中間支点は1つも取らずにランナウトして登りました。
・終了点は約30m登ったところにある残置ハーケンが3つで構築しました。
 
【2P~4P スラブ Ⅲ 100m】(山宮リード)
・トポにある100mあるスラブを3ピッチで登りました。
・2P目は約45m登ったところにある残置ハーケン1本にクロモリハーケン1本打ち足して終了点を構築しバックアップとしてナッツも使いました。中間支点は途中で見つけた残置支点1つだけ取りました。
・3P目は約25m登ったところにある岩角にスリングを使って終了点を構築しました。中間支点は1つも取らずにランナウトして登りました。
・4P目は約30m登ったところにあるリングボルト2つを使って終了点を構築しました。中間支点は1つも取らずにランナウトして登りました。

【5P 右のカンテへ Ⅳ 20m】(山宮リード)
・4P目終了点からスラブを少し右上して、スラブから1段上がって、そこから草が生えている安定したレッジへもう1段上がりそこをスタンス(草が邪魔で上から見るとスタンスが見えにくいので注意が必要です。)に使い、ホールドは剥がれそうなフレークっぽいもの(剥がさないような持ち方で持つ必要があります。)を使って右へトラバース。カンテを回りこむところはカンテの右側が見えないので慎重にいきました。(ここを回りきってから分かったことですが、レッジをトラバースしなくてもスラブから1段上がったところからカンテ右下へバンド状を下りてからカンテを回りこむと容易に回りこめます。進藤みさんにはそのラインどりで登ってもらいました。)
・カンテを右に回ったところに残置ハーケンがありましたが残置は1つしかなく終了点だとは思いませんでした。残置ハーケンのすぐ近くにクラックがあったのでカムをセットしてそこからも支点を取りました。(5P目終了点でハンギングビレイしながら下を見ていた時に、ここを終了点にしておけば良かったなーと思いました。トポを把握していればここで終了点を構築していたかもしれないのに・・・怠慢でした。)そして上を見るとカンテ沿いに縦に2つ並んだ残置ハーケンが見え、更にその右上に残置スリングが垂れ下がっている終了点が見えたのでそこを目指してロープを伸ばしました。
・カンテ沿いに縦に2つ並んだ貧弱な残置ハーケンでは終了点を構築する気は起きず、その右上の残置スリングが垂れ下がってた終了点が良さそうに見えたのでそこを目指しました。その終了点までの右上するところはスタンスが細かく立ち込めないと思ったので残置ハーケンにアルパイン用クイックドローのスリングをアブミに仕立て立ちこみ終了点の残置スリングを掴んで終了点へ到達しました。
・この終了点はRCCボルトとリングの輪が伸び支点も抜けかかっているリングボルトにそれぞれ残置スリングが2本タイオフで掛かってました。リングボルトはカラビナを掛けるスペースがあるのでいいですがRCCボルトの方は残置スリング2本が掛かっているとカラビナを掛けるスペースが無いのでタイオフしてあった残置スリングを1本外してリングボルトの方にタイオフでかけ直して、自分のスリングで終了点を構築しました。(この作業が疲れました。)
・この終了点でのハンギングビレイは心臓に悪かったです。(荷重をかける時もゆっくり優しくしました。)
・カンテを右に回ったところからこの終了点までがトポ6P目のカンテから右へトラバースの区間でした。(終了点を構築してセカンドビレイをしながら次のピッチのことを考えながら周りを見て上の凹角を見たときに『ん?核心のA1越えてしまっている?』とトポを見直してようやくピッチを伸ばしすぎたことに気づきました。)
・アブミはカンテから右へトラバースするところのワンポイントのみの使用で事足りると思うので共同装備で1つ持っていけば問題ないと思います。
・このピッチは残置支点は普通にありました。終了点脇の下向きに打ってあった残置ハーケンは進藤みさんが終了点に着いてメインロープでセルフを取りバックアップ的にその残置ハーケンからもセルフを取ったようですが荷重がかかったらあっさりと抜けたそうです。(山宮はリードの時にこの残置ハーケンは使用してませんでした。)

【6P カンテから右へトラバース~凹角 Ⅳ、A1 40m】(山宮リード)
・5P目でカンテから右へトラバースするところまで登ってしまっていたので、このピッチは凹角を登りスラブを登って適当なところで終了点を構築しました。(ロープスケル30mぐらい。)
・凹角を抜けた右側に終了点に使える残置支点(残置支点は2つだったか3つだったか忘れましたが・・。)がありました。
・凹角は基本外傾したホールドばかりで残置支点はリングボルトひとつしかありませんが、剥がれないしっかりしたガバホールドもあるので問題なく登れます。
・凹角を抜けるとスラブは右へも左へも登れる感じですが容易そうな左の方へ登りました。(左へ行って正解でした。右へ行くと詰む?)
・このピッチは中間支点は凹角内の残置支点と凹角を抜けたところの終了点の2つだけ取りました。

【7P 草付スラブ Ⅲ 60m】(山宮リード)
・出だしの草付を越えるとあとは易しいスラブの登りでした。
・終了点を構築できるところを探しながら登りましたが適当なところが見つからず、易しいスラブの登りだったのでスタンスが安定したところでの肩がらみビレイを選択。50mいっぱい登りきりました。
・中間支点は1つも取らずにランナウトして登りました。
・進藤みさんが登り始めてロープに余裕ができたのでビレイしながら上へと登り良い岩角を見つけたので念のためすぐに終了点を構築しました。
・中央ルンゼ終了点となる露岩まではあと15mぐらいありましたが、確保せずにコンテで登りました。

◆中央ルンゼ終了点~中央壁の頭~堅炭尾根
・中央ルンゼ終了点でアンザイレン解除。ロープや要らないギアはザックに片付けクライミングシューズからアプローチシューズに履き替えました。
・中央ルンゼ終了点から国境稜線の方へ少し歩き、易しいそうなところから中央壁の頭へと登りました。できるだけ灌木や笹を掴めるところを登り、岩の部分も濡れていて滑りそうなところは避けて登りました。
・中央壁の頭から堅炭尾根までも同様の感じで登りました。

◆下山
・堅炭尾根の中芝新道を歩いて芝倉沢出合まで下りました。
・谷川岳登山指導センターの掲示板に書いてあった通り廃道扱いとなっている中芝新道は笹が繫茂していました。(夜間や霧などで視界不良の時は道迷いに注意が必要だと思いました。)
・芝倉沢出合から幽ノ沢出合までは林道を徒歩、幽ノ沢出合から谷川岳インフォメーションセンター駐車場までは折りたたみ自転車で移動しました。

★感想:

(山宮)アプローチは沢登りでしたが、沢靴を履いていたのでロープを出さずにフリーで登れました。ドボンはしたくないので慎重にはなりましたが、二俣から左俣へと入る出だしのところだけ悪く感じた以外は普通でした。左俣の高巻きは灌木や笹がしっかりしているので安心して登れました。中央ルンゼカールボーデンはフリーで快適に登れました。易しいスラブのピッチは残置支点は無く(あっても1つぐらい)ランナーを取れそうなところを探しても無いのでランナウトしながら登りました。落ちる心配のない傾斜の登りなので精神的にも何の問題もなく登れました。5P目のカンテから右へトラバースするところはA0とA1で登りました。林道は折りたたみ自転車が楽ちんでした。この日の幽ノ沢は私たちのみで貸切でした。人があまり入ってないルートは面白かったです。2人共このルートは初見でしたが日が暮れる前に下山完了できて良かったです。反省としては、5P目でカンテを右に回ったところで終了点を構築せずに貧弱な終了点でハンギングビレイを強いられる状況になったのは反省です。貧弱な終了点まで登って終了点を構築してセカンドビレイをしながら次のピッチのことを考えながら周りを見て上の凹角を見たときに『ん?核心のA1越えてしまっている?』とトポを見直してようやくピッチを伸ばしすぎたことに気づきましたが後の祭りでした。下から見たときに良さそうに見えた終了点も登ってみてから貧弱なことに気づきましたが、クラックと残置ハーケンが1つあったところで比較的安心な終了点を構築できたのにスルーしてしまったことは反省して次に活かしていきたいです。終了点の構築に時間が掛かりすごいたことも反省です。一目見て終了点が構築できると判断できるようにもっと目を養いたいと思います。

(進藤み)スタートからガチ沢登りでした。ルートはほぼ支点が少なく30~40mランナウト当たり前。あっても「これ大丈夫!?」という物がほとんどで明確な終了点も無く自分で構築しなくてはならないもので今回はオールフォローで助かりました。装備解除後、登山道へ抜けるまでや出合までの道も非常に悪くこれこそアルパインだ!!と感じると共に、まだまだ力不足と痛感しました。でも天気も非常に良く、いろいろ楽しんだ1日でした。

★山行の詳細はヤマレコにアップしてあります。https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3723815.html

幽ノ沢出合
ドボンしたくないので慎重に歩きます
ナメ
二俣下の大滝は
フリーで登ります
二俣に到着
左俣を登ります
左俣の途中の適当なところから右岸に高巻き藪の中を登っていきます
適当なところで懸垂下降して沢床へ下りました
沢床より見上げた滝沢大滝と中央ルンゼ
左俣の左岸へ上がります
中の尾根を登っていきます
中央ルンゼ取付に到着
小ハングの所までの易しいスラブ約100m(中央ルンゼカールボーデン)はフリーで登ります
小ハングに到着。ここからロープを出しました。
小ハング下の1P目スタート地点の支点
1P目終了点
1P目終了点より上を見上げる
1P目終了点より下を見る
2P目終了点
3P目終了点
4P目終了点
4P目終了点から上を見上げる
5P目終了点
P目終了点から上の凹角を見上げる

5P目終了点から下を見る
5P目終了点から真横のハングを見る
6P目終了点
6P目終了点近くまで登ってきた進藤み
7P目のスラブ
上まであと少しのところで50mいっぱい。肩絡みビレイしました。
進藤みが登り始めてロープに余裕ができたのでビレイしながら上へと登り良い岩角を見つけて念のため終了点を構築しました
残り15mぐらいをコンテで登り露岩でアンザイレン解除
このルンゼは中央壁左方ルンゼかな?
中央壁の頭を目指して登ります
ここは左端の飛び出た岩の方を目指して登っていきました
中央壁の頭に到着。過去V字状岸壁を登った時に見たような景色が見えて一安心。
この下は右俣リンネになるのかな?
中央壁の頭にいる進藤み
中央壁の頭を越えて堅炭尾根へ登ってる途中の進藤み
堅炭尾根の中芝新道に出ました
中芝新道へ登ってる途中の進藤み
廃道扱いになっている中芝新道は笹が繫茂していました
芝倉沢まで下りてきました
芝倉沢出合で下りてきて記念撮影
幽ノ沢出合でも記念撮影
一ノ倉沢出合を通過
谷川岳登山指導センターの掲示板。『中芝新道は廃道扱いです。』
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投稿者: 新潟クライミングクラブ

新潟クライミングクラブは新潟市にある山岳会です。「角田山からヒマラヤまで!!」を合言葉にアルパインクライミングを中心に活動しています。

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